年金だけで暮らせる?まず知っておきたい老後のお金の話

お金・年金・働き方

老後の暮らしを考えるとき、気になるのが毎月の生活費と年金のことです。

年金だけで暮らせるかどうかは、住まいや家族構成、生活スタイルによって変わります。まずは、生活費と年金額の目安を知っておくと、自分の場合も考えやすくなります。

この記事では、老後にかかるお金と受け取れる年金の目安、自分の年金額を確認する方法をわかりやすく紹介します。

年金だけで暮らせるかは人によって違う

「年金だけで生活できるのか」という疑問に、すべての人に共通する答えはありません。

受け取れる年金額は、これまでの働き方や加入していた年金制度によって異なります。また、同じくらいの年金を受け取っていても、持ち家か賃貸か、夫婦か一人暮らしかなどによって、毎月かかるお金は変わります。

年金額と生活を見直す時は、平均的な年金額だけを見て判断するのではなく、「自分はいくら受け取れそうか」「老後の生活にどのくらいかかりそうか」を一緒に考えることがポイントです。

まずは、老後の生活費がどのくらいかかるのか、目安から見ていきましょう。

老後の生活にはどのくらいお金がかかる?

年金だけで暮らせるかを考えるには、まず老後の生活にどのくらいお金がかかるのかを知っておきたいところです。

食費や光熱費、住居費など、毎月の支出は世帯によって違いますが、公的な統計を見るとおおよその目安をつかめます。

ここでは、夫婦世帯と一人暮らし、それぞれの生活費の目安を見ていきます。

夫婦二人暮らしの生活費の目安

総務省の「家計調査 2025年(令和7年)平均結果」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、毎月の消費支出は平均26万3,979円です。食費や住居費、光熱・水道費、医療費、交通・通信費、教養娯楽費などが含まれています。(総務省統計局)

さらに、税金や社会保険料などの「非消費支出」が月平均3万2,850円かかっています。消費支出と合わせると、家計から出ていくお金は月平均で約29万7,000円になります。

ただし、これは65歳以上で仕事をしていない夫婦世帯の平均です。住まいや車の有無、趣味や外出の頻度などによって、実際にかかる金額は変わります。

一人暮らし生活費の目安

同じ調査では、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は、月平均14万8,445円です。税金や社会保険料などの非消費支出は月平均1万2,990円で、合わせると月約16万1,000円になります。

一人暮らしになると夫婦世帯より支出は少なくなりますが、単純に半分になるわけではありません。住居費や光熱費など、一人でもかかる費用があるためです。

こうした平均額は、老後の生活費を考えるときのひとつの目安になります。平均と比べるだけでなく、今の自分の生活費をもとに考えてみることで、老後に必要なお金もイメージしやすくなります。

年金はいくらくらい受け取れる?

老後の生活費について見てきたところで、次に気になるのが受け取れる年金額です。

年金の金額は、これまでの働き方や加入していた年金制度、保険料を納めた期間などによって変わります。

ここでは、国民年金と厚生年金の違いを押さえながら、年金額の目安を見ていきます。

国民年金と厚生年金で金額は変わる

公的年金は、国民年金(基礎年金)を土台に、会社員や公務員などは厚生年金にも加入する仕組みです。

2026年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で月額7万608円です。これは、20歳から60歳までの40年間、国民年金保険料を納めた場合などに受け取れる満額です。 (年金ポータル)

厚生年金に加入していた方は、老齢基礎年金に加えて、加入期間や現役時代の収入に応じた老齢厚生年金を受け取ります。

2026年度に示されている標準的な年金額は、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額23万7,279円です。

ただし、これは平均的な収入で40年間働いた場合のモデルケースで、すべての夫婦がこの金額を受け取れるわけではありません。

平均額はあくまでひとつの目安

年金額の平均やモデルケースを見ると、老後の収入をイメージしやすくなります。ただ、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。

国民年金は保険料を納めた期間などによって変わり、厚生年金は加入期間や現役時代の収入なども金額に関係します。

平均額は「これくらい受け取れる」という目安として参考にし、自分の年金額は別に確認すると考えるとわかりやすいでしょう。

次は、自分が将来どのくらい年金を受け取れそうなのか、確認する方法を見ていきます。

自分が受け取れる年金額を確認してみよう

年金の平均額やモデルケースは参考になりますが、老後のお金を考えるうえで知りたいのは、やはり「自分はいくら受け取れそうなのか」というところです。

将来の年金額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット(年金ネット)」を使って確認できます。

ここでは、それぞれの見方や使い方をわかりやすく見ていきます。

ねんきん定期便を見る

「ねんきん定期便」は、年金に加入している方へ毎年誕生月に届くお知らせです。これまでの年金加入期間や保険料の納付状況、年金額などを確認できます。

50歳以上の方には、現在の年金制度に60歳まで同じ条件で加入し続けたと仮定した老齢年金の見込額が記載されています。まずは手元の定期便を開いて、「自分はいくらくらい受け取れそうか」を確認してみると、老後のお金を考えるひとつの手がかりになります。

あわせて、加入期間などの年金記録に「もれ」や「誤り」がないかも確認しておきましょう。

道草さん
道草さん

届いたまましまっている方は、一度開いて見込額を確認してみましょう!

ねんきんネットで将来の年金額を試算する

もう少し詳しく確認したいときは、日本年金機構の「ねんきんネット(年金ネット)」が便利です。

「かんたん試算」では、現在と同じ条件で60歳まで年金制度に加入すると仮定して、将来の年金見込額を確認できます。さらに「詳細な条件で試算」を使えば、今後の働き方や収入、年金を受け取り始める年齢などを変えて比較することもできます。

①かんたん試算=今の条件が60歳まで続く想定
②詳細な条件で試算=働き方や受給開始年齢などを変更できる

「何歳まで働くか」「年金をいつから受け取るか」で、将来の年金額がどのように変わるのかを考えるときにも役立ちます。

道草さん
道草さん

ねんきんネットを利用する時は、マイナポータルとの連携またはユーザIDを取得する必要があります。

年金だけでは足りないと感じたときに考えたいこと

自分の年金額を確認してみて、「今の生活費を考えると少し足りないかも」と感じることもあります。

そんなときは、足りない金額だけを見るのではなく、生活費・これからの働き方・貯蓄や資産の使い方を一緒に考えてみると、できることが見えやすくなります。

ここでは、老後の暮らしを考えるときに確認しておきたい3つのポイントを見ていきます。

  1. 生活費:これからも続く支出を確認する
  2. 働き方:何歳まで、どのくらい働くか考える
  3. 貯蓄・資産:いつ、何に使うかを考える

生活費を見直す

年金だけでは少し足りなそうだと感じたら、まず確認したいのが毎月の生活費です。

老後になると、仕事にかかっていた費用が減る一方で、医療費や趣味、交際費などが増えることもあります。今の支出をそのまま老後に当てはめるのではなく、「これからも続きそうな支出」「減りそうな支出」に分けて考えると、自分に合った生活費が見えやすくなります。

働き方を考える

老後の収入は、年金だけとは限りません。

60代以降も、自分の体調や生活に合わせて働くという選択肢があります。フルタイムで働くだけでなく、勤務日数を減らしたり、短時間で働いたりする方法もあります。

何歳まで、どのくらい働くかによって、年金を受け取り始めるまでの生活や、貯蓄を取り崩す時期も変わってきます。

「できるだけ長く働かなければ」と考えるのではなく、自分がどんな暮らしをしたいかと合わせて考えていくことがポイントです。

貯蓄や資産をどう使うか考える

老後のために貯めてきたお金は、持っているだけでなく、暮らしの中でどう使っていくかを考えることも必要になります。

年金で足りない分を毎月少しずつ補う方法もあれば、住宅の修繕や旅行など、大きな支出に備えて残しておく方法もあります。

老後のお金は、年金・生活費・貯蓄や資産をまとめて考えることで、全体像がつかみやすくなります。

「老後にはいくら貯めておけばいいのか」という金額だけではなく、自分の暮らしに合わせて、どのように備え、使っていくかを考えていきましょう。

まとめ

年金だけで暮らせるかどうかは、受け取れる年金額や生活費、住まい、家族構成などによって変わります。

まずは平均的な金額を参考にしながら、自分が受け取れそうな年金額と、老後にかかりそうな生活費を確認することから考えてみましょう。

もし年金だけでは足りないと感じても、生活費や働き方、貯蓄や資産の使い方など、考えられることはいくつもあります。

「老後にはいくら用意すればいいの?」と気になった方は、次に老後資金について考えていくと、これからの備えがより具体的に見えてきます。