仕事や子育てに忙しかった頃は、自分のための時間をなかなか持てなかったという方も多いのではないでしょうか。
50代・60代になると、少しずつ生活にゆとりが生まれ、これからは自分の時間を楽しみたいと考える方も増えてきます。
趣味は単なる楽しみではなく、心や体の健康にも良い影響を与えてくれます。
この記事では、趣味が健康につながる理由について、介護予防の視点も交えながらご紹介します。
趣味は健康にも良い影響を与えてくれます
趣味は、ただ楽しい時間を過ごすためのものではありません。
好きなことに取り組むことで、脳や体に適度な刺激が生まれ、人とのつながりや気分転換にもつながります。最近では、趣味を楽しむことが健康維持や介護予防にも良い影響を与えると考えられています。
まずは、趣味がどのように健康につながるのか見ていきましょう。

脳への刺激になり認知機能の維持につながる
趣味は脳にさまざまな刺激を与えてくれます。
例えば、読書で新しい知識に触れたり、楽器の演奏で指や耳を使ったり、手芸で作品を作ったりすることは、考える力や集中力を使う機会になります。
年齢を重ねると、「最近、人の名前が出てこない」「覚えるのが面倒になった」と感じることもあるかもしれません。しかし、新しいことに挑戦したり、好きなことに夢中になったりする時間は、脳を活発に使うきっかけになります。
認知症を完全に予防できる方法はありませんが、趣味を通じて脳を使うことは、認知機能の維持にも役立つと考えられています。
体を動かすきっかけになる
健康のために運動をしようと思っても、なかなか続かないという方は少なくありません。
その一方で、趣味として楽しんでいることは自然と続くことがあります。
例えば、ウォーキングやガーデニング、家庭菜園、ダンス、ゴルフなどは、楽しみながら体を動かせる趣味です。

地域包括支援センターの仕事をしていると、「運動は苦手だけれど、畑仕事なら毎日やっている」という方は意外と多いです。
趣味の場合、「健康のために頑張る」のではなく、「好きだから続けている」という方が多いのです。
結果として活動量が増え、筋力や体力の維持につながることもあります。
人とのつながりが生まれる
趣味は、人とのつながりを広げるきっかけにもなります。
趣味のサークルや教室に参加したり、同じ興味を持つ仲間と交流したりすることで、新しい出会いが生まれることがあります。
年齢を重ねると、退職や子どもの独立などによって、人と関わる機会が少なくなることもあります。しかし、人とのつながりは健康や介護予防の面でも大切な要素のひとつです。
実際に、フレイル予防では「運動」「食事」と並んで「社会参加」が重要だとされています。
もちろん、大人数の集まりに参加する必要はありません。趣味を通じて気軽に話せる相手がいるだけでも、毎日の楽しみや安心感につながることがあります。

趣味は、このうち「運動」と「人とのつながり」の両方につながることがあります。
趣味は心の健康にもつながる
趣味には、体や脳への良い影響だけでなく、心を元気にしてくれる力もあります。
好きなことに集中する時間は気分転換になり、日々のストレスを和らげるきっかけにもなります。また、「次は何をしよう」「次の活動が楽しみだ」という気持ちは、毎日の生活に張り合いを与えてくれます。
ここでは、趣味が心の健康につながる理由について見ていきましょう。
気分転換になりストレス解消につながる
毎日の生活の中では、仕事や家事、人間関係など、さまざまな場面で知らず知らずのうちにストレスがたまることがあります。
そんなとき、好きなことに集中する時間は気持ちを切り替えるきっかけになります。
例えば、読書に夢中になったり、楽器を演奏したり、編み物やガーデニングを楽しんだりしていると、自然と目の前のことに集中します。すると、悩みや不安から少し距離を置くことができ、気持ちが軽くなることがあります。
趣味は問題を解決してくれるわけではありません。しかし、心を休ませたり気分をリフレッシュしたりする時間を持つことは、心の健康を保つうえで大切なことです。
「次が楽しみ」が生活に張り合いを生む
趣味には、「次が楽しみ」と思える時間をつくってくれる力があります。
例えば、「来週の教室が楽しみ」「次はこんな作品を作りたい」「読みたい本がある」など、小さな楽しみがあるだけで毎日の過ごし方は変わってきます。
特に退職後や子どもの独立後は、以前より自由な時間が増える一方で、生活に変化が少なくなったと感じる方もいます。そんなとき、趣味は日々の楽しみや目標になり、生活に張り合いを与えてくれます。
大きな夢や目標である必要はありません。
「今度はこれをやってみようかな」
そんな気持ちが、毎日を前向きに過ごすきっかけになることもあります。
こんな楽しみも立派な趣味です
- 次に読む本を選ぶ
- 散歩コースを変えてみる
- 写真を撮りに出かける
- 花を育てる
- 手芸作品を作る
- 好きな音楽を聴く
趣味は特別なものでなくても大丈夫
趣味というと、特別な才能が必要だったり、長く続けられるものでなければならなかったりするイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、趣味に決まった形はありません。大切なのは、上手になることや結果を出すことではなく、自分が楽しめることを見つけることです。
これから新しい趣味を始めたい方も、まだ「これが趣味です」と言えるものがない方も、まずは気軽な気持ちで考えてみましょう。
小さな興味から始めてみる
「趣味を見つけよう」と考えると、何か特別なことを始めなければならないように感じるかもしれません。
しかし、最初から立派な趣味を見つける必要はありません。
例えば、本屋で気になった本を読んでみる、散歩しながら季節の花を眺める、昔好きだった音楽を聴いてみるなど、ちょっとした興味から始めるだけでも十分です。
実際に趣味を楽しんでいる方の中にも、「最初はなんとなく始めた」という人は少なくありません。

私も最近、中古でフルートを購入してしまいました。触ったことも吹いたこともないのに…!
大切なのは、「これを趣味にしなければ」と考えることではなく、「少しやってみたい」と思った気持ちを大切にすることです。
続けることより楽しむことが大切
趣味を始めると、「毎日やらなければ」「長く続けなければ意味がない」と考えてしまうことがあります。
しかし、趣味は仕事や勉強ではありません。
忙しい時期があっても良いですし、一度やめてまた再開しても問題ありません。
健康のために無理をして続けるよりも、自分が楽しいと思える時間を持つことの方が大切です。
まずは気軽な気持ちで始めて、楽しめる範囲で続けていきましょう。
まとめ
趣味は、ただ時間を楽しむためのものではありません。
脳への刺激になったり、体を動かすきっかけになったり、人とのつながりを生んだりと、心や体の健康にもさまざまな良い影響を与えてくれます。
これからの人生をより自分らしく楽しむためにも、まずは少し気になることや、昔好きだったことから始めてみてはいかがでしょうか。



